昨日行われた亀田興毅対ランダエタ戦の判定に大きな反響が起こっています。混乱の原因である採点基準を確認しておきましょう。
採点は、各ラウンドごとに優劣をつけていきます。その評価の基準は、次の通りです(JBCルール)。
1 クリーン・エフェクティブ・ヒット(正しいナックル・パートによる的確にして有効なる加撃。有効であるかないかは、主として相手に与えたダメージに基づいて判定される)
2 アグレッシブ(攻撃的であること。ただし加撃をともわない単なる乱暴な突進は攻撃とは認められない)
3 ディフェンス(巧みに相手の攻撃を無効ならしめるような防御。ただし攻撃と結びつかない単なる防御のための防御は採点されない)
4 リング・ゼネラルシップ(試合態度が堂々としてかつスポーツマンライクであり、戦術、戦法的に相手に優れ、巧みな試合運びによって相手を自己のペースにもっていくこと)
そして、僅差のラウンドも、大差のラウンドも。採点は、次のようになります。
1 10=10(互角の場合)
2 10=9(若干の勝ちの場合)
3 10=8(ノック・ダウンまたはこれに近い状態をともなう明らかな勝ちの場合)
4 10=7(相手が全くグロッギーでノック・アウト寸前の圧倒的な勝ちの場合)
ここで、問題は、2と3です。
例えば、1ラウンド目に、選手Aは、様子を見るために、ほとんど手を出さず相手の廻りをサークルしているのに対して、選手Bは、クリーンヒットがないものの積極的に手数を出して追いかけていたとすると、選手Bの10−9となります。次のラウンドに、選手Aが、サークルしながらも適格にクリーンヒットを重ねる一方で、選手Bは追い回すだけになってしまった(パンチもほとんどでない)状態であったとすると(3の10−8までは行かない状態)、選手Aの10−9となります。さて、ここで、2ラウンド目を終えた段階では、選手Aが選手Bに対してより大きなダメージを与えています。しかし、採点は、19−19のイーブンということになります。
あまり考えられませんが、このようなラウンドが、交互に繰り返されて11ラウンドまでいったとすると、1、3、5、7、9、11が選手Bの10−9で、2、4、6、8、10が選手Aの10−9となります。従って、採点では105−104で選手Bがリードしていることになります(ダメージの大きさと異なっています)。そして、最終ラウンド、ダメージのない選手Aは逃げ回っていて、積極的に追っていった選手Bがいったとすると(両者に有効打もなくて数も同じとすると)、選手Bの10−9となると考えられます(10−10の可能性もある状態)。結果、選手Aは全くダメージがなく、選手Bはかなりのダメージがあるという状態にもかかわらず、判定結果は、選手Bになります。
確かに、格闘技ですから、ダメージの大きさが重要な判断材料ということになりますが、それは、全体でのことではなくて、採点においては、各ラウンドごとのダメージで評価します(採点基準の1です)。
ゴルフでは、マッチプレーでの勝負と考えるといいのかもしれません。トータルのストロークが劣っていても、各ホールごとの勝敗数が多ければ、勝つことができます。その他、バレーボールやテニスも、それぞれのゲームでの点差や内容ではなく、取ったゲーム数で勝敗を決めます。また、野球の日本シリーズ、仮にセ・リーグのチームが1試合目から3試合目までを10−0の3連勝をしたとし、その後、0−1で4連敗したとすると、内容はセ・リーグのチームの方が強かったんじゃないのと思うかもしれませんが、優勝は僅差でも勝ち越したパ・リーグのチームになります。基本的には、このような感じで考えてもらえばいいと思います。若干、厳密な表現ではないかもしれませんが。
もう少し違った例で考えてみます。二人で同時にサイコロを振って、出た目の大きい方が勝ちとして、それを5回繰り返して、勝った回数で勝敗を判断するとします。
Aさん Bさん
1回目 5 2
2回目 1 2
3回目 6 1
4回目 2 3
5回目 1 2
出た目の合計はAさんの方が多いですが、Bさんの勝ちです。
ボクシングの判定は、このような感じなので、今回のように、全体のダメージだけで勝敗が決するというわけではないのです。では、それが不公平かというと、そのような判定基準をお互いが承知して行っているわけですから、サイコロの例のように、Aさんが勝ちを主張することはできません。確かに、サイコロや他の例と違うのは、それぞれのラウンド(野球でいえば1試合)での勝ち負けの基準ということになります。
ここで、亀田戦を考えると、1ラウンドはダウンを奪ったので明らかにランダエタで、11R、12Rも亀田をかなり劣勢にしたのでランダエタ。ところが、2R以降、明らかに亀田のラウンドもありましたが、微妙なラウンド(振り分けるのが難しいラウンド)を亀田が取ったとすれば、このような結果もあるわけです。つまり、全体での内容と各ラウンドを振り分けた結果の乖離ということでしょう。
最近のコメント